気まぐれ日記 02年11月

02年10月の分はここ

11月1日(金)「コンビニ頼りの風さんの巻(2)」
 夕べは予想外に早くホテルへ帰ったので、今朝は早起きできるかと思ったが、目覚ましの音が聞こえず、1時間も寝坊してしまった。部屋でコンビニで買ったパンを食べて、いざ出発。
 地下鉄を乗り継いで、東大史料編纂所へ。今回はいつも使っているノートパソコンを持参したので、これだけで3.5kgもある。重い。ホテルの新聞によれば、今日の天候は午前中は雨で、午後から雨は上がるという予報であったが、まだ降り出していない。昨夜もどんよりしていたが、風もなく、まずまずの気温だ。念のために花粉症の薬を飲んで出てきたので、鼻はスッキリしている。快調だ。10時頃に着いた。
 いつもの史料を出してもらって、残った部分の複写依頼を用意してから、パソコンへのメモ作業を開始。これを午後1時まで続けた。途中でどんどん気温が下がってきて、窓の外を見ると、真剣に雨が降っている。秋の冷たい雨だ。昼休み明けの受付で複写依頼をしてから外へ出た。折りたたみ式の傘を開く。天気予報から半日遅れということになるか。キャリア付きのバッグをころがすには雨が強いので、タクシーを拾って、神田の三省堂へ向かった。
 三省堂の入り口フロアを使って、古本フェアが開催されていた。近頃、一般書店でも古本の文庫とかを置いて客引きをするようになっている。商売は大変だ。
 ここの2Fのピッコロで出版社と打ち合わせた。来年3月までに出版できるように頑張って欲しいとハッパをかけられた。飽くまでもレベルの高い作品に仕上げたいと思っているが、時間との競争も重要だ。たくさんの付箋がついた提出原稿を受け取って、早めに別れた。
 雨は少し小降りになっていた。バッグを引きながら電車を乗り継いで銀座へ向かった。途中でコンビニで夕食と明日の朝食を購入した。部屋へ入ってパソコンを立ち上げ、お茶をわかして、夕食のお稲荷さんを食べた。どうも疲労が体にへばりついている。しばらく横になった。
 それから起き出して、ちょっと電話をした。これはエクスプレスカード予約センターに用事があったからで、時間はかかったが、結構応対がていねいで好感がもてた。
 外は雨がほとんど上がっていた。
 時間がきたので、急いで、ホテルを出た。イイノホールで神田紅さんがトリをとる「ウーマンティナー2002」があるのだ。タクシーを拾った。動き出してすぐ、名刺入れを部屋に置き忘れたことに気付いた。こういうときに限って、初対面の人と出会うんだよなあ!
 イイノホールはすぐだった。受付でクロスポイントの鈴木さんと初めて会った。名刺を渡せない。始まる30分前に場内に入った。席数をざっと数えると約600ぐらいだった。出演者の数からいって、今夜の催しがビジネスとしては少し問題がある感じがした。つまり、有料入場者だけを当てにしたのでは、ビジネスとして成立しない。結局、会場が主催者であり、東京新聞(中日新聞)が後援(国立西洋美術館のウィンスロップ展の招待券がもらえた)、大関株式会社が協賛(お土産に全員お酒がもらえた)ということで、記念行事みたいな位置付けだったのである。
 席は約9割が埋まった。紅ヤッホー隊の人の姿が見えなかった。
 いきなり紅さんの大石主税姿の司会から始まった。「ウーマンティナー」は今年で3年目なのだそうだ。
 中身の濃い公演だった。春風亭柳昇の一番下の弟子とかいう春風亭小町の落語、大神楽水戸宗家のお嬢さん柳貴家小雪さんと20代の演者が、元気一杯の芸を見せて、スタートダッシュをした後、円熟した芸の見せ場が続いた。わざわざ関西からゲスト出演してくれた、おんな道楽の内海英華(えいか)さんの三味線とおしゃべりに、場内はどよめいた(本当である)。続いて、来年芸道50周年を迎えるという澤孝子先生の浪曲『岡野金右衛門の恋』の迫力ある語りに酔った。ここで仲入り(休憩)。
 緞帳の絵は5羽の鶴である。今夜の出演者が5人の女性なので、うまい具合に合っている。
 カンカン娘の出囃子で登場したのが、古今亭菊千代さん。来年芸道20周年を迎えるという落語家である。『中村仲蔵』という出し物で、恐らく初めて聞いたと思う。面白かった。男の噺家の間に出てくれば、女性という特徴を感じるのだろうが、今夜の出演者はすべて女性である。三味線の佐藤貴美江さん、名札めくりの神田紅葉さん。女性といった特殊な見方はもう完全に消えていて、ひたすら芸を鑑賞する目になっている。内海英華さんのあたりからは、ため息をもらしながら堪能した。
 トリは神田紅さんの『南部坂雪の別れ』である。3度目のお色直しをした紅さんは白に赤い紋の入った着物で、神々しいばかりの美しさ。その美しさで、前置きもなく、いきなり講釈が始まった。明快でよく通る声。すごい迫力である。こっちは時代小説家なのでかなり理解できるが(ついでに本能というか習性で時代考証もしてしまうが)、よほど講釈を勉強した人でないと、あの時代がかった語りは聞き取れないであろう(こっちは漢字まで目に浮かぶ)。四十七士の連判状を一気に読み上げたところで、ようやく軽口をはさんだ。
 討ち入りのシーンでは、天井から雪が舞い、紅さんは舞台で一人で大立ち回りを演じた。足を開いて踏ん張り、しゃがんで見栄を切り、刀や槍に見立てた扇子を振り回す。力の入った大演技だったが、裾が乱れないだけでなく、着崩れもしない。花のある芸人とは紅さんのことを言うのだろう。
 紅さんの芸が終わって、こちらもようやく肩から力が抜けた。既に9時である。実に3時間におよぶ公演だった。
「ウーマンティナー」来年も絶対に来ようと思った。
 幕が下りると
客がすぐに帰り始めた。混雑する出入り口付近。すぐに紅さんが出てきた。ファンを大切にする紅さんらしい。今夜は、紅さんから市原麻里子さん(第22回歴史文学賞受賞者)を紹介してもらう約束なので、大方の客が帰るまで待つことにした。紅ヤッホー隊の時宗さんが現れた。他にもヤッホー隊の方たちと挨拶を交わした。
 ようやく混雑が減ってきたので、紅さんに接近した。今夜の紅さんは初めて実物にお目にかかったときと同様に美しく、早くも鳴海風はとろけ出した。挨拶すると、紅さんは全方位に気を配りながら、周囲の方たちを紹介し始めた。短い時間に出会いの場を演出されているのだ。そのひたむきさに胸が熱くなる。ちょうど紅さんの正面には宮崎緑さんがいて、「この人が時代小説家の鳴海風さんですよ」って、無名の私など知らないだろうけど、紅さんは一生懸命だ。宮崎緑さんはテレビで拝見した通りの雰囲気の人だった。宮崎さんは帰られた。その後すぐに市原麻里子さんや@@@出版のT重役、東京新聞の広報担当の方などを紹介してくださった。



 写真は、私の左から神田紅さん、@@@出版のT重役、市原麻里子さんである。
「これから出演者の方たちと打ち上げがあるので、ご一緒できませんが、また池袋演芸場へでも遊びに来てくださいね」紅さんは本当に申し訳なさそうにおっしゃったけれども、こっちの方が恐縮してしまう。
「ウーマンティナー2002」だけでも収穫だったが、この後も大収穫であった。これも紅さんの導きなのだろう。とりあえず伏字にさせてもらうが、@@@出版のT重役と意気投合してしまったのである。Tさんは仕事ではなく趣味の範囲で(つまり損得抜きで)来られていた。色々とお話をうかがっていると、(失礼ながら)考え方が似ているのである。二人の共通点は会社勤務ということだ。私の場合は、会社に勤めながら小説を書いている。Tさんの場合は、会社に勤めながら独自の考えで仕事をなさっておられる。決して上に迎合するわけではなく、また常識的な考えにとらわれることなく、本質を見抜いて信念を貫かれておられる。そして、これからぜひ友人として付き合いたいとおっしゃってくださった。(@@@出版は文芸はほとんど出さないけれども、私も下心抜きで)とてもうれしく思った。
 Tさんと市原さんと2軒ハシゴした。市原さんは未完成の大器といった方で、まだご自身の才能に気付いておられない。可能な限りそれを伝えたいと思った。
 午前1時過ぎまでご一緒し、最後にTさんとかたく握手して別れた。

11月2日(土)「コンビニ頼りの風さんの巻(3)」
 夕べはホテルまで歩いて帰り、フロントで夕刊をもらった。1面トップで「ゴジラ松井FAで大リーグへの夢」という記事が載っていた。とてもうれしかった。感動的なことが続く一日だ。
「日本シリーズで優勝したから、松井はもう思い残すことないよね」思わず、フロントに風さんも語りかけてしまった。
 そのまま満足して寝てしまった・・・。
 就寝が遅かったにもかかわらず、今朝は6時20分に目が覚めてしまった。
 ベッドで昨夜もらった夕刊二つ(朝日と日経)、今朝ドアの下から入っていた朝刊(毎日)に目を通した。何と言ってもゴジラ松井の記事が最大の関心事だ。田中さんのノーベル賞受賞と同様にうれしいのは、二人とも実に人柄がいいからだ。これはひとつの本質で、人柄の良い人に幸運が訪れると、周囲の人々はみなそれを祝福するものだ(逆もまた真なり)。小説技法のひとつもそうである。感情移入の条件として、人物設定をそのように工夫するのだ。読者にどう思わせるかで、その人物をどう設定するか決める。あとはいかに具体的にその人物を造形していくかである。
 シャワーを浴びて、着替えてから部屋で朝食をとった。コンビニで買ったパンである。ああ、それにしてもコンビニばかりだなあ(夕べTさんとご一緒しなければ、ずーっとパンとおにぎりとお稲荷さんだけの旅行になるところだった)。
 出発までまだ時間があったので、パソコンを立ち上げて、データ入力をしておいた。
 チェックアウトして、東京駅でエクスプレス予約した新幹線の切符を手に入れた。
 ファンシーグッズの店に入ったら、ワイフが昨年手に入れそこなったクリスマスグッズがあったので、お土産に購入した。
 帰りの新幹線で短編を1本読んだところで眠くなってしまった。やはり疲れている。
 1時半に帰宅した。カップそばが置いてあったので、それを食べてから昼寝した。実に寂しい食事が続いた旅行であったが、やはり人との出会いが最高である。それが最高の旅の土産である。
 
11月3日(日)「静かな執筆の日・・・の風さん」
 昨夜はメールを出したり、気まぐれ日記を書いたりしているうちに、夜が深々と更けていき、執筆どころでなくなってしまった。で、今朝もそれほど早起きできず、またまたトレーニングを断念してしまった。やることはまだたくさんあるのだが、とにかく今日は執筆に専念して元の調子を取り戻さなければならない。
 ・・・と言いつつ、これだけはしてしまった。最近冷え込むのである。書斎のクーラーは文字通り冷房しかできないので、暖房は石油ファンヒーターにしている。書斎は書籍であふれ返っているので、少しスペースを作って、ヒーターをセットした。これで安心、と。
 本来のペースはやはり調べながらコツコツ書くしかない。ひたすら真面目に作業した。根気も集中力も衰えることがない。これだけが救いである。数ページは進んだぞ。明日は明日でPTAの準備がある。明晩は期待できないな。

11月4日(月)「しまった!・・・の風さん」
 さあ、今週もやるぞ(もちろん執筆)、と思ってスタートしたところが、またまた会社で大はまり・・・。
 昼休みもなく時間がどんどん過ぎて、帰宅は零時前となってしまった。
 帰りにロードスターに給油するはずだったのに、ガソリンスタンドも閉まっていた(当たり前だ)。
 すぐに遅い晩御飯を食べ、入浴し、明日のPTAの部会の用意を始めたが、とても予定通りのところまでは行かなかったので計画変更することに決定。その後、知人へ拙著を送付する準備を半分だけした(こういうことって結構テマヒマがかかるもの)。
 それからワイフと時期はずれのチューハイを飲んで寝た。つまり、パソコンへ向かう時間もない1日だった。

11月5日(火)「会社で荒れている風さんはPTAでも結構荒れている(?)の巻」
 今日は隣県まで出張するので、出勤前にガソリンスタンドへ寄って給油した。その前に、二日で睡眠時間がひと桁という悲惨な状態のため、ひどく頭が重い。そういった鉛のような体でもって、30分遅れの出社。
 朝、私より少し前に家を出た中一の長男は、学校の小グループ社会見学で、何を血迷ったか、父親の勤務する会社を訪問するという。入門時にはそんなことを思い出したが、直後、すっかり忘れてしまう。
 このところ会社でパソコンを立ち上げると100件近い未読メールがある。でも、すべてきれいに読み終えることはしない。だって、そんなことをしていたら日が暮れる。毎日トラブルが発生し、計画通りの仕事なんてできない。今日も不安定な精神状態のまま午前中を過ごした。ゴジラ松井のような人格者になりたいものだ。
 昼食後すぐ出張に出かけた。席にいない方がよほど仕事ははかどるので、だんだん気分が回復してくるが、寝不足で頭が痛い。外へ出たら、細かい霧のような雨が降っていた。気温が低い。いつ雪になってもおかしくない陽気だ。
 仕事を終えてまっすぐ帰宅した。
 PTAの部会まで少し時間があったので、仮眠した。すぐに眠りに落ちた。
 部会では私がリーダーなので、どんどん進めていく(場所は小学校の校長室)。メンバーは私含めて5人と顧問の先生。3ヶ月前の続きの作業だ。本当は来年分の作業へも着手したかった。その準備はできていないので、今夜は断念。1時間で今夜の分がほぼ終わる。ただし、一人を除いて。その人は前回仕事をたくさん残したままで切り上げていたのだ。とは言え、その分の作業を手伝うことにした。手紙書きである。「じゃあ、私が、それをやりましょう」と申し出たら、「こういうのは文才のある人がいいです」などと言うので、「違う。労をいとわずやるかどうかの問題だ。問題をすりかえてはいけない」とぴしゃり。この人とは大体いつもこんなこんなやりとりをする。はたで聞けば冷や冷やするだろうが、決してケンカしているわけではない。それでも、その人の分は作業が残った。「次回もやりきれなかったらどうしよう」と言うので、「罰として来年もやってください」。
 今年も残り少なくなってきたが、PTAの仕事はまだかなりある。

11月6日(水)「すべて不調・・・の風さん」
 夕べは眠かったけど、少し執筆しなければ、とパソコンへ向かったがエンジンがかからなかった。
 で、今朝は起きられなかった。
 夕べ準備した拙著の郵送をワイフに頼んで出発。
 会社で荒れているので、最近よく出張する。今日も午後ロードスターで出かけた。午前中から花粉症がひどく薬を飲んだ。比較的天気が良くて眠気が襲いかける。出張先へ早く着いたので、駐車場でしばらく目をつぶっていたら眠ってしまった。抗ヒスタミン剤が強烈に効いてきたのだ。夕べの寝不足がたたったせいもある。
 出張先での仕事はうまくいった。
 ロードスターを走らせているときが最高に幸せだ(なんて悲しいかも)。CDやカセットをよく聴いている。先週はホイットニー・ヒューストン、今週は今井美樹(字が違うかな)だ。風さんの好みが分からないであろう。ははは。何でも受け入れてしまう風さんの好みを特定し解説するのは難しいぞよ。
 帰宅して食事をとってからパソコンへ向かったが、相変わらず不調。ストーリーが全然浮かばない。
 メールを送って、ネットサーフィンで調べ物をしているうちに、諦めて寝ることにした。

11月7日(木)「今日も不調・・・の風さん」
 早起きして出社前の1時間執筆に取り組んだ。だめ。なんにも浮かばない。膨大なデータが目の前に乱雑に積み上げられているだけで、どう料理したらいいか分からない。絶不調だ。それでも、日中どこかで何かひらめくかもしれない、と史料類をカバンに詰めて出社した。
 会社では1日中資料作りであった。風さんは管理職で部下もいるのだが、あまり部下に仕事を頼まない。たいてい自分でやる。会社の仕事は趣味だから仕方ない(しかし、この趣味は実益が大きいので悔しい)。小説こそ本業だ(ただし食えないから、これも悔しい)。というわけで(何がというわけでだ!?)、執筆のことを考えるヒマもなく、1日が暮れた。悲しい。
 帰りのロードスターの中でも、な〜んにも浮かばない。重症かもしれぬ。
 毎日楽しいメールが来るのだけが救いだ。

11月8日(金)「気分転換するぞ・・・の風さん」
 2年ほど前、秋田大学で講演したときにお世話になった先生が、学会で名古屋に来られている。こんなにブルーな気分でなければ当然会いに行くところだが、・・・できない。来年出版が実現するまでの宿題がどんどん増え続けている。今夜はさっさと寝て、明日から心機一転頑張るつもりだ。
 なかなか自宅でメールチェックしている余裕もないので、通勤時にケータイでチェックすることが多い。6日に送付した拙著2冊のうち、名古屋は昨日、東京は今日届いたとのメールが来たので安心する。
 一昨日だったか、会社の昼休みにこっそり紅さんのホームページを覗いたら、市原さんが私のことを書き込んでいた。会ってみたら風さんは田中耕一さんみたいな方だった・・・ちょ、ちょっと待ってよ。あんな偉大な田中さんと似ているなんて、とんでもない誤解ですう! ああ、田中さんやゴジラ松井のような飄々とした人格者になりたいものだ。
 退社後、予約していた歯医者へ行った。院長が徹底的に歯石を取りましょうと言ったので、覚悟を決めて出かけたのだが、女医さんがやさしく歯石除去をしてくれて、今日で終わってしまった。もしかすると院長の指示を守らなかったのかも。大きなマスクをしていた女医さん・・・実は風さんの知り合いだったりして・・・。
 帰りにロードスターの給油をした。4日間で400km走った。火曜日の燃費チェックは10km/Lだったが、今日は10.7km/Lと最高値を更新した。ま、燃費はともかく、ロードスターの走りはいつも風さんを裏切らない。
 明日は執筆を頑張って、夜、久しぶりにテレビを観るつもりだ。

11月10日(日)「大ボケ風さんの巻」
 久しぶりに観たテレビとは「冷静と情熱の間」である。
 実に収穫の多い(感動したとひと言ではとても表現できない)映画だった。日本人が海外を舞台にしてこれほどサマになっている映画をついぞ観たことがない(もっともいばれるほど鑑賞しているわけではないが)。そして、海外(主にフィレンツェだが)を実にうまく活用している。英語、イタリア語をふんだんに使用していたのがいい。あおいが自分の気持ちをうまく順正(じゅんせい)に伝えられなくて、日本語から英語に変えてしまうのも見事だった。一度外れたレールから簡単に元に戻れない(自分の気持ちは分かっているのだが、相手を不幸にしそうで自信がない)そういうあおいが(きわめて難しい役どころながら)ケリーチャンによってよく演じられていた。そして、あおいの愛をまざまざと教えてくれたのが順正だった。時代をこえて、人はひたむきな愛に感動する。主役の竹野内豊の動と静。体全体で演じるアクティブなシーンと対照的に、わずかな表情の変化だけで見せる演技にも驚嘆した。上質の映画であった。
 午前中に用事があってちょっと外出したのだが、またまた大ボケを演じてしまった。子供の頃からこういうことは多かったが、子供なら「そそっかしい」ですまされることも、現在のような年齢になってくると、単なるボケ、いや大ボケである。
 大ボケは3つの忘れ物から構成されている(うわあ、硬い表現!)。1つ目。知人へ渡す約束のCDを忘れた。2つ目と3つ目。投函するつもりの封書(直前に用意)に切手が貼ってない。もう一つ投函するつもりの葉書(これはプレゼント応募ね)に欲しい品物が書かれていない。ポストへ入れる直前に気が付いた。そこから自宅へUターン。それからいくつかあって、30分ですませる用事が、結局1時間もかかってしまった。やれやれ。
 でも、悪いことばかりではない。図書館で知人が見つけてくれたDVDから、かなりの収穫があった。感謝。

11月11日(月)「焦る気持ちをリラックスさせて・・・の風さん」
 執筆計画は大幅に遅れているが、意欲だけは低下していない。そして、今でも拙著を読んでくださった方から励まされる。今日も、会社で久しぶりに会った人から「去年のは面白かった。今年はまだ出ないの? 期待しているよ」と言われた。帰宅してメールチェックしたら、南山誠林さんから、『和算忠臣蔵』が面白かったとのメールが届いていた。読者がいる限り、鳴海風は新作を書き続けなければならない。
 相変わらず会社では仕事一本である。昼休みもないに等しい。ではあるが、午後は工場へロードスターで出張した。もちろん安全運転で走るのだが、必要なときに少しアクセルを踏み込むと、ぐぐっと応えてくれる。サウンドもいい。
 帰りにコンビニに寄ってコーヒーを買い、夕闇迫る街中をコーヒーを飲みながら小気味よく走っていく。今日のカセットは阿川泰子の「Le Cinema」。映画音楽も気分がなごむ。

11月12日(火)「ポリフェノールを摂取した翌日は・・・の風さん」
 昨夜はマイペースで執筆したため、全然進展しなかった。入浴後、ファックスしようとパソコンへ向かったら、この間すぐに出来たことが今回はできない。悪戦苦闘しているうちに1時間も経過したろうか。怒り狂って断念。続いて、手紙というかカード作成に着手。ほぼ順調に進んだが、眠くて頭がぼーっとしていたため、文章がめちゃくちゃ。おまけに印刷を失敗した。早めに寝る予定が深夜になってしまい、書斎を出てリビングに降りると、ようやくワイフも仕事が終わったところだった。「なんか飲む?」という合言葉で、ポリフェノール(赤ワインのこと)を摂取することに。やけくそで全部飲んじまったわい。
 おかげで今朝は寝不足。5分遅れで出社。午前中はめまぐるしく仕事して、午後は工場へ出張逃亡。
 帰りに買い物をし、ロードスターの給油をし(10km/L)、帰宅。
 食後、障害になっているストーリー作りに専念した。少しずつしか進まない。
 昨夜失敗したファックスに再トライしたら、何とかうまく行った。
 短編を1本読んでから寝た(数日前に、ストレッチというか筋トレをして寝たら、腰が痛い)。

11月13日(水)「他人のホームページに圧倒されている風さんの巻」
 最近、夜も頑張っているので、朝が起きられない。おまけに、数日前の筋トレの後遺症で腰が痛い。素人が無理なトレーニングをするとロクなことはないな。
 最近会社で荒れているので(別の表現をすると、精神的にすさんでいるので)昼休みに本を開く気にもなれない。今日は、久しぶりに森博嗣さんのホームページを覗いてみた。数百万という単位のアクセスカウンターに先ず圧倒されるが、そんなのは序の口だ。このベストセラー作家で、国立大の建築工学科の助教授は、空前絶後といってよいほどアクティブな人物である。私のようなノロマ人間の時計は速く回ってしょうがないが、彼のように仕事の速い人間の時計はゆっくり回るものなのだ。彼の10分の1でも効率的に仕事ができれば、私ももうすぐ作品ができるだろう。
 今日は、森博嗣さんの画才にも圧倒され、てっきり独身かと思っていたら奥様までみえるということで、また驚かされた。いつのまに結婚していたのか。あれほど超人的な仕事をしていて、奥様とうまくやっていられるのだろうか。ただただ驚くだけである。
 今日の会社では、専務のところや副社長のところを、行ったり来たりしているうちに日が暮れた。
 ロードスターの心地よい走りに酔いながら帰宅すると、新鷹会の『大衆文芸』1月号のための随筆依頼が来ていた。1月号は執筆陣が充実しており、そこへ名前を連ねることは名誉である。
 1時間ほど執筆したが、さっぱり進展しない。

11月17日(日)「復活したか・・・の風さん」
 ひと月早く冬が訪れたような時期があったが、ここのところ平年並みの陽気で、私の好きな季節である。公園の木々が芸術の秋を思わせる装いとなり、農園では収穫のころとなる。私が住んでいる地域は、どちらかというと観光でもっているような町で、冬枯れの前のこの時期は、蜜柑狩りや芋掘りといった体験学習みたいなイベントで遠来から客を呼ぶ。私は庭仕事は全くしないので、昨日、シルバー派遣業者から3人に来てもらい、貝塚伊吹、樫、花水木、梅、石榴などがスッキリと剪定された。今日は、ワイフが、ボランティアで「歩け歩け大会」の炊き出し(200人前のスイトン作り)に出かけていった。空は晴れ渡っていて、風もなく、寒くもなく暑くもない、清々しさである。つくづく秋だなあ、と感じる。自分の人生もそろそろ秋。このような人生を演出できないものか、と思う。
 さて、荒(すさ)んだ精神状態が原因でスランプ状態だったが、1週間、落ち着くように努力したせいか、金曜日の夜に久々に少し書けた。1週間前に今年の計画を再設定し、それがもろくも崩れていただけに、復活の兆しはうれしかった。少し遅くまで頑張って、ワイフとワインを飲んで寝た。
 昨日も、その勢いで書こうと、できるだけ力まずに1日を過ごした。ゴールまでの距離を考えれば焦るだけなので、今は足元を見ながら、一歩一歩踏みしめて行くしかない。後退さえしなければよいのだ、と自らを励ましつつ。
 なかなか励行できないことだが、毎日、少しずつでも「書くこと」「読むこと」「調べること」を続けなければ、本当の実力はつかないと思う。やや完ぺき主義の傾向がある私は、中途半端な自分にすぐ嫌気がさしてしまい、ひどく落ち込む。それが私流のスランプ状態だ。
 昨日は、書きながら、途中でインターネットでアメリカの史料を調べ始め、ドンピシャリのものが発見できてうれしかった(全文英語なので、かなり辞書のお世話にはなった。英検準1級の腕はかなり落ちている)。こういう喜びも味わいつつ執筆できると、焦りも緩和できるようだ。
 今日も、落ち着いて、執筆を継続した。新しい舞台に突入するので、また調べ物が必要になった。が、今度はインターネットではない。今年6月に長谷川伸邸の書庫から借りてきた史料を久々に開いてみたら、ドンピシャリのものであった。あれから5ヶ月。いかに私の執筆速度が遅いか、これで分かろうというもの。重要なので、部屋で少しコピーした。
 地味で、真面目で、しかし、誰も書いていない可能性が高い場面でつなげているのが、今回の作品である。もちろん完璧は無理。でも、これは私が書く歴史小説のひとつのスタイルである。歴史は事実。しかし、それを忠実に再現することは不可能。それよりも、歴史を借りて、真実を語ることはできる。人間の真実。精一杯生きた人間の真実。人は永遠に生きることはできないが、真実は永遠に語り継がれる。

11月18日(月)「少しはハウスキーパーもするぜ・・・の風さん」
 我が家の冬の暖房は石油ファンヒーターがメインで、あとはエアコンや電気カーペット、セラミックヒーターなどを組み合わせている。いずれにしても石油の消費量が多い(金額はそれほど嵩まないが)。この石油を買ってきて給油するのが風さんの役目だ。買うときは、ワゴン車の後ろに5個ぐらいのポリタンクを乗せて、そのままバックして下ろさずに給油してもらう。家での給油は結構大変だ。50リッターの屋外タンクへの給油は肉体労働である。そのうち爺さんになっちまったら、自分でできなくなるから、そのときは全部エアコンにするか、あるいは200リッターぐらいの屋外タンクを道路側に設置して、配達給油してもらうことになる。
 上の話は毎年のことであるが、週末に庭木の剪定をしてもらっている最中に、2階のトイレが突然詰まってしまった。水を流すと、ホラー映画のように、わあーっと溜まってきてあふれそうになる。しばらくそのままにしておくと、じわーっと減少していく(つまり流れていく)のだが、便器の奥の最初のコーナーに何かが詰まっているらしい。水は濁っていないので、汚物ではなさそうだ。ワイフが知人に尋ねてみたところ、トイレットペーパーでも詰まることがあるらしい。で、知人のアドバイスに従って、棒付きの吸盤みたいなヤツを買ってきて、今日、ワイフが「かぽかぽ」やってみた。ところが、どうもうまく行かなかった。そこで、ご主人様のご出座〜、となった。風さんも男なので、乱暴に「かぽかぽ」やってみたが、うまく行かない。吸盤の部分がすぐ変形して、パワーを発揮してくれないのだ。ところが、これが勘違いで、どうやら使い方を間違えていたようだ。吸盤というかお椀型のゴムで水を押し込むのではなく、押し込んだゴムのお椀を引き抜くときに、逆に引っかかっている何かを、吸い込むのが効果的な使い方だったようだ。一気につっかえが取れた感じで、溜まっていた水がすーっと引いていった。従って、詰まっていた何かを確認することもなく、トイレは元通りすっきり水が流れるようになった。トイレの便秘解消である(変な表現)。
 このままトイレネタで終わると気持ちが悪いので、銀座ネタでしめくくろう。先週、2通の葉書が届いた。1通は銀座の貴族からで、12月2日から浅井慎平さんの写真展をやるからお越しください、というもの。ママさんからだ。もう1通は、絵師蓬田(よもぎだ)やすひろさんからで、「江戸羽子板絵展」を12月2日からやるので、お越しください、というもの。場所は、ワコール銀座アートスペースである。どちらも銀座! うーん。これらを口実に行きたーい! でも、今は執筆を進めねばならぬ。ぐっとこらえてストイックな鳴海風は今日も行く〜ってワケねえだろ。

11月21日(木)「お父さんも年がら年中受験生?・・・の風さん」
 この間の週末に少し執筆が進んで、ようやくトータル800枚を超えた。今度の提出中間原稿は900枚を想定しているのでピッチを上げなければならない。
 で、実は今日から特別態勢に入った。執筆有休である。しかし、前夜まで仕事を頑張りすぎたのか、帰宅して夕食をとったら一気に疲労が出て、そのままダウンしてしまった。居間のソファーで目覚めたのは今朝の2時過ぎである。我に返ると、誰かが入浴している。はは〜ん。ワイフだな。あいつはいつも就寝が遅いからなあ、と思っていたら、出てきたのは長男だった。どうやら試験週間に突入する前段階で、遅くまで頑張っているらしい。それで、少し頭がクラクラしたが、お父さんも書斎へ直行し、執筆することにした。
 が、頭がボーッとしていて、とても執筆できない。そのうち長女が入浴している音が聞こえてきた。あいつもメチャクチャな生活サイクルに陥っている。はたして自分も昔そうだったのだろうか。メールチェックやらネットサーフィンやらしているうちに、空腹と共に夜が明けた。子供の弁当を作るため、ワイフも起き出した。いつの時代もお母さんはありがたい(子供はなんと思っているのか?)。わたしも階下へ降りたが、またソファで気を失ったように眠りこけた。
 再び目覚めたら、子供らはみな学校へ行った後である。つとめて明るくワイフへ話しかけるが、どことなくよそよそしい。おいらは粗大ゴミじゃないって!
 午前中、何とか執筆が進み出した。が、遅い。
 昼はランチを食べにワイフとロードスターで出かけた。イタリアンレストランである。人気のランチスポットはウィークデーは奥様族に占領されている。そこへ割り込んで、居心地は悪かったが、料理はまずまず楽しめた。しかし、どうしてこう世の中は女性にとって有利にできているのだろう。差別じゃ〜! 職場でキレている風さんが家庭でキレたら、絶対に主夫になるぞ。
 ランチから帰宅したら、ようやく東大史料編纂所で頼んだ最後のコピーが書留で届いた。これをきちんとクリアファイルへ入れて、背表紙にタイトルをテプラーで印刷してはさんだ。カッコよく出来た。クリアファイルは100円/冊で、計4冊つまり400円だが、中のコピーはマイクロフィルムからの焼付けなので、総額3万円近い。この史料で、ある1節が書けるのである。そんな雑用を夕食前までやって、その後、執筆再開。今日はやっと10枚である。明日はもっとピッチを上げるので、今夜はこの後少し読書して早めに寝ることにする。

11月22日(金)時は金なり・・・の風さん」
 普通に起床し、今朝はワイフとモーニング・コーヒーを飲みに出かけた。こう書くと近所に行ったように思われそうだが、有料道路をロードスターでぶっ飛ばして、H市まで足を伸ばしたのである。以前は、こういう行為は「もったいない」とワイフに非難されていたものだが、「時は金なり」という私の持論がだんだん認められて、近頃は何も言われなくなった。すっかり紅葉した山の中の自動車専用道路を走っていると、信州をドライブしている気分になった。
 すべてに執筆が優先する状態に突入しているので、年内はトレーニングに行けそうもない(数年前に『算聖伝』に取り組んでいたときも同じ)。こうなると、だんだん体調がおかしくなる。今は、首をかばって肩が張る状態が、背中へも広がっていて、気持ち悪い。文字を書き過ぎて右の肩甲骨のあたりが痛くなる経験を学生時代によくしたものだが、それと症状が似ている。夕方、ついに耐えられなくなって、医者からもらってある薬を服用した。首と肩の痛みの薬である。すぐに効いてきて(ホント単純にできている体なんだから)、ついでに睡魔が襲ってきて、夕方1時間近くダウンした。
 急がなければいけない執筆は相変わらずマイペースになってしまい、ピッチが上がらない。夕食後、挽回するぞと思っていたら、次女がパソコンで年賀状をデザインするという。ワイフの最強マシンを提供してやらせてみた。子供は覚えが早いので(学校でも結構やっているらしい)、30分ほどで完成してしまった。それを見たワイフが、いくら勧めても着手しなかったクリスマス・カード作成に取り組むと言い出した。恐怖である。ワイフがパソコンに取り組んでいるときに、一緒にいてトラブルに巻き込まれることが多かったからである。その防禦のため、次女をアシスタントにつけることにした。・・・が、この作戦は見事に失敗した。いつの間にか、次女がワイフの指示の元でカード作成をしている。代わりにカード作成をしているのなら、何も問題はない。ワイフの指示の元で、というのがクセモノなのである。自分で操作していれば限界も分かって、適度なところで妥協するが、他人にやらせていると、人間はワガママになる。ああしろ、こうしろ、とうるさいこと、うるさいこと。おまけに女同士の漫才である。途中、何度も私まで駆り出され、パソコンを操作しなければならなかった。今朝のモーニング・コーヒーのために、わざわざ有料道路を@@@km/H で突っ走って稼いだ時間の貯金は、軽く消えていた。完成まで3時間近くかかった。
 で、執筆が大いに阻害され、今日も10枚しか進まなかった。

11月23日(土)鳴海流言語学講座の巻」
 集中執筆の3日目である。結果報告を先にすると、目標20枚のところが、16枚だった。
 内容は微妙な(かなりフィクションで構成しなければいけない)部分に入り、それでも何とか乗り切った。
 本当は、もっと時代を進めていかないと、終わりにたどりつけないのだけれど、仕方がない。それは明日からだ。
 1年中考えていることだが、どうしてこうスイスイと書けないのだろう? 歴史小説、時代小説なので、時代考証にてまどるということはある。つまりデータ収集だ。どうも私の場合、これに凝り過ぎている。というか、データの山の中からストーリーを構築しているきらいがある。これは確かにひとつの手法には違いないが、まったく逆の手法もあるはずで、その鍛錬を忘れている。つまり、着想とかプロット、アイデア、ストーリー先行型である。大体のストーリーを作っておいて、後から時代考証でリアリティを固めていく手法だ。これが弱い。
 次に、史料を消化する速度が遅い。技術的な問題が多くて、すぐには解決できないけれど、老化現象との戦いも加わって、ことは複雑化している。あれこれ書いている余裕はない。
 3番目は、読書量の少なさだ。読むことは絶対に勉強になる。他人の作品を研究することが、自分の作品の質を高めるからだ。時間のない私は、これも弱点だ。しかし、世の中には1日を36時間か48時間あるくらいに生きている人がいるので(鈴木輝一郎さんとか森博嗣さんとかね)、決して無理ではないと信じている。
 この3番目に関してだが、先週、借りてきた落語のCDを運転中に6回聴いた。古典落語は江戸時代の小説を書く私には基礎知識が得られるので、大学時代に『古典落語』(興津要編)を読破したことは前に書いた。再読する余裕はないので、試しにCDで聴いてみたら、新鮮な知識が得られた(忘れていただけかもしれないが)。CDを聴いてみようと思ったのは、ついこの間、神田紅さんのCDを聴いて勉強になったからである。今回聴いたのは、柳家小さんの「宿屋の仇討ち」である。講談も落語も時代考証的に評価すると、危ない部分が多く、そのままは使えないが、それでも新しい発見はある。「宿屋の仇討ち」の中では、面白い単語をいくつか拾い出すことができた。「指し宿」とか「両個(りゃんこ)」である。「指し宿」は「指値(さしね)」の仲間で、「両個」は「贅六(ぜえろく)」の仲間かな(鳴海流解釈です。言語学的見地から非難しないように!)。

11月25日(月)「もう死ぬ気でやるしかない・・・の風さん」
 昨日の執筆はまた難しいところに入ってしまい、6枚しか進まなかった。・・・で、夕べは睡眠時間が4時間である。もうこうなったら、死ぬ気で頑張るしかない。でも、もし本当に死んだらごめんなさい。
 昨夜から少し雨模様の空である。ぱらつくにしても、季節を感じさせない暖かな雨で、風も吹かないので楽だ。ロードスターが汚れるのは気分が悪いが、その分、スピードを出して補う。今の私にはロードスターを駆っているときが、最も心地よい時間だ。
 出社したら、嘘みたいに平和な1日だった。自分から火事場に飛び込むようなことをしなければ、こういう日もあるのだとあらためて知った。多少眠かったが、仕事はこなし、昼休みに史料に目を通す時間もあった。そして、何と言っても驚きは、社内メールをすべて読み切った状態で退社できたことである。こんなことは月に1日ぐらいしかないぞ。
 今夜の執筆は、既執筆分の振り返りが主で、新たな原稿はほとんどできなかった。
 明日の夜は、小学校で私が主催するPTAの部会がある。時間的には、明日も厳しい。

11月27日(水)「ロードスターの名前はミッシェルの巻」
 また冷え込んできた。こういう時は風も吹き出して、体感温度が下がる。ミッシェル(ロードスターの名前はこれにする。ちょっと好きな女優ミッシェル・ファイファーにちなんで命名した)に乗ってもヒーターを使うことが増えた。
 昨夜はPTAの部会があったので、早めに帰宅して小学校へ出かけた。私が開催する今年最後の部会である。あと来年1回で済まそうと思っていたが、作業が捗らず、来年の開催は、1月と2月に各1回の計2回となった。
 帰宅してワイフ手作りのパンを食べてエネルギー全開。既執筆分の振り返りの続きをやってから、入浴。その後、読書をしたところで、あえなくダウン。
 しかし、今朝は早起きできて、出社前に1時間半執筆できた。頭の中ではストーリーが先行しているのだが、綴る文章が追い着かない。急がなければ。
 今週もミッシェルの中で落語を繰り返し聴いている。江戸言葉の勉強が出来て実にいい(このあたりの勉強も、世話物を書きたくて、大学時代に随分やったが、かなり忘れてしまった)。毎週CDを1枚ずつ聴き続けるつもりだ。
 夜の執筆モードは、昨夜と同じ。ただし、簡単にダウンはしない。

02年12月はここ